2017/01/12 ナナマルサンバツ 4巻 [角川コミックス・エース]
漫画 杉基イクラ
例会編スタート！でも、例会って？
スポンサードリンク
文蔵高校クイ研では、笹島が1人チートクラスの知識とクイズの技量を持っていますが
識を始めとする、新入部員も着実に力をつけている状況です。
この巻からは、例会編がスタート。
2巻の終わりで、御来屋が6月の例会に出てこいと
識に告げた、あの例会です。そもそも例会とは？
ここで、舞台は同じく近隣にありクイズ部がある麻ヶ丘に。ちなみにミッション系の女子校です。
例会とは、通常クイズサークルが普段行っている活動のことを指しますが
中高生のクイズ研究会の場合は、各学園が持ち回りで開催し、クイズ研究会に
所属する生徒が参加できる、大会のことを指すとのこと。
今回の主催者が、この麻ヶ丘となります。真理の中学生の頃のクイズ仲間もこの学校に。
かなりの大規模の大会と言え、ここでの勝利は、全国での戦いに大きくはずみをつけられるようです。
自分をライバルとして認めてくれた、御来屋とガチのクイズ対決もしたいと考える識は
今まで以上に、クイズに打ち込み始めるのでした。
部内のペーパークイズから、それぞれの弱点を指摘していく笹島。
早押しも、経験者の真理が強いですが、それに負けないようにと
確定ポイントが読まれる直前で、ボタンを強気に押す識。
博打的な解答も多くなりますが、それでも全国の猛者に勝つためには必要な技術ということでしょう。
一つずつ着実な知識をつけていく、文蔵クイ研のメンバーたちですが
この巻では、真理と識の背景の掘り下げがあります。
真理がクイズ好きになったのは、兄の影響から。
そして、識が本の虫になったのは、今は亡き父の影響から。
そんな背景が簡単ではありますが描かれています。
キャラクターに感情移入するためには、こういう要素も重要ですね。
各々、例会に向けての準備を行い、そして遂に来た例会の日。
麻ヶ丘は、キリスト教のミッションスクールとなっているため、問題作成も宗教系の問題が多いようです。
最初の定番のペーパークイズから始まり、全く知らない学校の生徒同士がくじ引きで
即席のペアを作り、早押ししたら2つの解答をそれぞれが答える、1問2答クイズといった
クイズが展開されていきます。クイズ番組を見るとわかりますが、色々な問題パターンを作れるんですよね。
前巻で、識たちがゲーセンでガラの悪い連中に絡まれた時に助けてくれた
あのコスプレの女の子も再度登場。ただし、彼女の本当の名前は苑原明良（そのはらあきら）といい
実は、男の娘だったことが判明。
更には、麻ヶ丘のクイ研部長の弟であることも判明。
彼は、赤河田中学の3年生とのこと。
赤河田は中等一貫校ということのようですね。
麻ヶ丘もそうですが、この巻では新たな高校として開城高校も登場。
学人が元いた学校であり、関東地域では最強のクイズ強豪校。
学人と開城の間には相当深い因縁があるようですが、今後明かされていくのでしょうか。
この巻で白眉だったのは、名数型クイズの解答の作り方。
2巻の感想で触れた、3つとか4つの解答がある中で一つを答えさせるという問題ですね。
代表的なのは三大○○とか、アレです。
学人が解説しているのは、こういった名数型では一つ異質なものが
答えに選ばれることが多い（出題者の視点的に）ということだそうです。
例えば、日本三景と呼ばれる松島・（安芸の）宮島、天橋立という場所がありますが
この問題を名数型にした時に、島と名の付く松島・宮島を問題文に入れ
後の一つ、島がつかない天橋立が解答になる問題が多いという理屈だそうです。
そして、今回の麻ヶ丘が用意したのは、2つの答えがある一問2答クイズ。
つまり、同じ問題を一問2答で出すのであれば、天橋立とどことどこ？
という問題を作るであろうというのです。これは、実際にクイズ全盛期時代に
クイズに関わっていた人間が、監修しているこの作品の強みですね。
思わず、なるほどと唸らされました。答える側だけではなく出題者側の視点が解説されているのは面白い。
実力者も集まり、最終的には己以外は全てライバルともなりうる
競技クイズの奥深さ。例会編に入って、ますます頭脳と戦略を駆使した
クイズバトルに目が離せない状態になっています。次の巻も期待です。
もはや恒例となった、巻末のペーパークイズは今巻も収録。
今回の収録は、例会で使われたペーパークイズと同じ問題だそう。
作中のキャラになり切ってガチンコで楽しむのが吉かも。
作中内の上位陣と、自分の成績を比較するのも楽しそうです。
個人的評価（5段階） ★5
1巻の感想はこちらから
2巻の感想はこちらから
3巻の感想はこちらから
コメント 0