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2016/12/10  ゴブリンスレイヤー 1巻 [ビッグガンガンコミックス]




原作 蝸牛くも
作画 黒瀬浩介
キャラクター原案 神無月昇


彼が倒すのはドラゴンでも魔王でもない…ただひたすらゴブリンを殺し続ける彼は、いつしかゴブリンスレイヤーと呼ばれるようになった…。


蝸牛くも原作によるライトノベルをコミカライズした「ゴブリンスレイヤー」です。


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RPGなどのゲームでファンタジー世界に馴染んでいる人は
ゴブリンというモンスターが、大抵ザコとして設定されていることを知っているはずです。


以前レビューした別の作品、灰と幻想のグリムガルで主人公達が
力をつけるために選んだ初期の魔物はゴブリンでした。


元々ヨーロッパの伝承を元にした、主に悪いいたずらをする妖精という定義があり
ファンタジー作品の異形のモンスターとしては、実に使われやすい、ある意味
この手の作品好きの人には親しまれているモンスターでもあります。


そんなゴブリンも、作品によってはかなりの脅威を持って描かれている作品もあり
以前紹介した、灰と幻想のグリムガルは、ゴブリンでも素人パーティにとっては
最初は苦戦する強敵…といった描写がされているのが、印象的でもありました。


このゴブリンスレイヤーは、そのファンタジー世界では基本的には弱く描かれる事が
多い、ゴブリンを題材にした作品ということで、なかなか変わった着眼点の作品だと思います。
ちなみに原作はWEB小説…というよりは、2ちゃんのやる夫を使ったスレからこの作品が生まれています。


ゴブリンスレイヤー内のゴブリンの定義は、一匹一匹は人間の子供ぐらいの体躯と
力と頭脳しか持たない、非力な存在とされ、この世界でも基本的にゴブリンはザコモンスターになります。
(元々の設定は、よくあるどこかのTRPGの世界…ということらしい)


だから、この世界の実力のある冒険者たちは、基本ゴブリンなど歯牙にもかけません。
彼らは、ファンタジーの強者の定番である、ドラゴンや魔王といったようなモンスター達の
討伐に勤しんでおり、ゴブリンなどはもはや眼中にないのです。


この世界の冒険者には、その功績や実力に応じて何段階かの等級付がされています。
一番上が、白銀(プラチナ)等級、2番めが金等級、3番めが銀等級…といった具合ですが
上位2つの等級は、もはや伝説の英雄クラスの等級であり、ほぼ実際に活動している
冒険者たちは、この等級にはいません。なので、3番目の銀等級が現在活動している
冒険者の中で、もっともランクが高いとされています。


ゴブリンスレイヤーは、この世界でなんと最高位の銀等級を持つ冒険者。
しかし、彼は他の冒険者が躍起になって討伐するような大物に全く眼もくれません。
彼が殺すのはゴブリンのみ。徹底的にゴブリンしか進んで討伐しません。(他のモンスターは成り行き上仕方なく討伐することはある模様)


先の解説で、この世界のゴブリンは人間の子供ぐらいの知能しか持たないと書いていますが
裏を返せば、子供ぐらいの力を持ち、知能を持ち、それなりの機転は利くという言い方も出来ます。
想像してみていただければわかりますが、人間の子供1人が明確な殺意を持って襲ってきたとしても
大人が、いなすことは容易いことでしょうが、それが20~30人まとまって襲ってきたとなれば…
屈強な大人が2~3人程度で、太刀打ちしようとしても、人海戦術で押し切られてしまう…ということになります。


この世界でのゴブリンの一般的な認識は、人間に慢心をもたらす結果となってしまっています。
つまり、ゴブリンなどは大したことない…駆け出しの冒険者でもいなすことが出来るはずだと。


まだまだこの世界の残酷さを知らない駆け出し冒険者が、安易にゴブリン討伐クエストに手を出し
結果、壊滅させられる。男の冒険者は殺され、女の冒険者はゴブリンに陵辱される…。
そんな、悲劇的な出来事が、「良くあること」として、この世界では日常的に起きているのでした。


そして、ゴブリンは一般の人々にとっても、意外に驚異的な存在です。
群れを成し、「渡り」と呼ばれる数々の修羅場をくぐり抜けてきた
人間の大人でもなかなか太刀打ち出来ないようなゴブリンが、群れを率いて
近くの村などを襲い、略奪・陵辱の限りを尽くすのです。


ゴブリンスレイヤーはその昔、自分が住む村をゴブリンに襲われ
自分の家族を犯され、殺されるその一部始終を目撃することになるのでした。
そして、彼はゴブリンへの復讐のために、ゴブリンスレイヤーになることを選びました。


とにかく、ゴブリンスレイヤーの単純ながらも、読者を納得させる動機づけは
ゴブリンスレイヤーという孤高の冒険者の魅力を際だたせることに成功しています。


彼は、ゴブリンを殺すためにありとあらゆる戦術を駆使し、罠を使ったり
爆薬を使ったり、時には火を放ったり水攻めをしたり…ありとあらゆる手を使ってゴブリンを殺します。
彼曰く、「ゴブリンにとってのゴブリンが俺だ」というほど。
とにかく、彼自身も言うようにゴブリンに対して一切の容赦をしません。


良いゴブリンとは、人前に出てこないゴブリンと断言し
子供のゴブリンですら、容赦なく彼は殺していきます。


そのストイックなまでのゴブリンスレイヤーっぷりに、同じ銀等級の冒険者からは
小物を殺して銀等級なんて…と、蔑みの眼で見られているきらいもありますが
本人はどこ吹く風。とにかく、ゴブリン絡みのクエストしか彼は徹底して引き受けません。


しかし、簡単な案件だからと誰も実力者が手をつけようとしないゴブリンクエストを
彼が積極的に引き受けてくれることから、クエストを依頼する受付嬢(この世界のキャラクターにはゴブリンスレイヤー以外の固有名詞はありません。役割の名前が各々つけられているだけです)や
村の一般人などからは、誰もやらないことをやってくれる、身近な脅威を排除してくれる
頼れる冒険者として、一部の人からは英雄視されるほどの冒険者でもあるのです。


基本的に1人で戦ってきたゴブリンスレイヤーですが、たまたまゴブリン討伐中に
同じく最初のクエストとして、ゴブリン討伐を選び、壊滅させられてしまったパーティの一員であった
駆け出しの冒険者である、女神官を行きずりで助けて、そのままパーティを組むことになるのでした。


このヒロイン役の女神官がまた、なかなかいいキャラで、神の慈悲を受けながらも
その奇跡を、ゴブリンを殺すことに使われるという、自分の立ち位置にちょっとした
疑問を持っていて逡巡しているところに、駆け出しの冒険者的甘さを感じます。
ただ、それがゴブリンスレイヤーの頑なな心を、若干ほぐしているようにも感じます。


この女神官のデザインが個人的には結構好みでして、一言で言えば萌えですw
矢を受けて、殺されそうになったり、恐怖のあまり失禁してしまったり、されていることは
結構ひどい仕打ちのような気もしますが…^^;


とにかく、ゴブリンという一般的に小物と考えられているモンスターを
バッタバッタとなぎ倒していく、ゴブリンスレイヤーの活躍とゴブリンスレイヤーに
惹かれるヒロイン達の対比が、なんとも言えない空気感を生み出しているように思います。


女冒険者が、ゴブリンに殺されたり犯されたりするような描写もある作品ですので
大人向けの作品になりますが、黒瀬浩介による作画がこの雰囲気にマッチしていて
これまた、先が楽しみな作品であります。女神官の活躍がもっとみたいですねぇ。


個人的評価(5段階) ★5




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