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2016/12/07  ふれるときこえる 1巻 [少年サンデーコミックス]




作者 本名ワコウ


○○されると心の声が聞けてしまう…そんな能力に振り回される思春期真っ盛りの少年・少女の恋物語。


週刊少年サンデーで連載された、本名ワコウによる「ふれるときこえる」です。


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ノ・ゾ・キ・ア・ナという、一風変わったラブコメを描いていた
本名ワコウの作品となります。この作品もちょっと変わっています。


主人公は、高校一年生のバスケ部に所属する泉澤噪(いずみさわそう)
そして、その友人で同じくバスケ部である白瀬拓海(しらせたくみ)
ヒロイン役として、二人の間に入る女子バスケ部の結川美桜(ゆいかわみお)
彼らは中学の頃からの仲間で、噪は結川に片想いをしています。


ある日、噪と拓海が雨の日に一緒に帰宅していると
町にある、願い事を叶えてくれると言われる「あやかり地蔵」という
ちょっと道から外れたところにある、地蔵様の前に1人の小さな女の子が
雨に打たれて居るのに、噪が気づきます。


遠目から見るとカッパを着ているのかと思いきや…
実はそれはパーカーで、ずぶ濡れになっている少女。
噪はそんな彼女に、自分が持っている傘を差し出します。


あやかり地蔵に何か願い事をかけているのだろうと思った噪は
願い事がかなった時に、風邪を引いているのはつまらないと
半ば強引に、少女に傘を押し付け去っていくのでした。


二人が去っていくのを遠目に見守る、その少女。
二人が去った後で、密かにお地蔵さんに謝るのでした。曰く


願ったばかりなのに人と関わってしまった…と


その出来事からしばらくして、夏の暑い盛りに、少し時期外れの
転校生が噪たちのクラスに来るということが話題になります。
男子か女子か。いつも通り、ワイワイと騒がしい3人。


そして、実際に現れた転校生は長永さとり(おさながさとり)という女の子なのでした。
ただ、さとりは誰が見ても変わっている女の子で、夏の時期に手よりも長い袖を持つ
上着と、足がすっぽりと隠れるぐらいのロングスカート。そして、顔にはマスクと
表情をうかがい知ることの出来ない、大きなメガネ。


そんな怪しい格好をした、さとりは実は、以前噪が傘を差し出した
あやかり地蔵前で、既に会っていた女の子なのでした。
見た目も変わっているし、言動も変わっているさとりですが
実は、彼女にはちょっと変わった力があったのです…。
そして、その力は彼女を臆病にさせているのでした。


その後、噪は自分のちょっとした異変に気づきます。
拓海と悪ふざけをしている時に、拓海が言ってもいないことを口走り
拓海を不審がらせたり、家では妹が実は自分を自慢の兄と
友達に吹聴していることがわかったり…。


そこで、噪はふと気づくのです。自分は触れた人の心の声が聴けるのではないかと。


そのことに気づいてからは、他人との接触に恐怖を抱く噪。
心を読むという設定は、漫画では割とありきたりですが、その実際の内容は
大体、その力を持った人の心を閉ざすのに十分な力となっています。


噪の場合は、触れた相手だけとは言え、相手の心が聴こえてしまうわけです。
そこで、彼が思いついたのは…自分が片想いする結川の心の内。


放課後のバスケ部の練習に身が入らない噪。
ちょっと端っこで休んでいると、拓海と美桜がやってきて
噪を本気で心配するのでした。


噪の本心を知る拓海は、二人が少しでも上手く行くようにと
適当に理由をつけて、噪と美桜を二人きりにするのでした。
その際の拓海の心の声は、「うまくいくといいな、この二人…」なんていいやつなんだ…。


機せずして、美桜と二人きりになることが出来た噪。
いけないとは思いつつ、美桜の心の声を聴いてみると…


美桜は拓海のことが好きなのでした。


直接本人から聴いたわけではないとは言え、その事実にショックを受ける噪。
人知れずあやかり地蔵の前にいき、美桜が拓海を好きな事実を夢であったことにしてほしいと
叶いもしない願いを呆然とつぶやきます。その傷心の噪の前に現れたのは…さとりでした。


そして、さとりは噪に、美桜が好きなんですよね?と告げます。
そんなにわかりやすい態度になっていたかと、自嘲気味に言う噪。


しかし、さとりは重大な事実を告げます。
噪くんは、美桜さんの心の声を聴いたのですよね?と。


自分しか知らないはずの出来事をさとりがなぜ知っているのか?
戸惑う噪の前でも、冷静な口調で、さとりは、それは自分のせいだと言います。
そしてさとりの口から出た驚愕の事実とは…


私があなたを好きになってしまったから…


どうやら、さとりが好きになった人間は、心の声が聴けるようになってしまうのだそうです。
さとり自身もその力を持っており、この力のせいで自分は今まで人との関わりを避けてきたのだと。
そんな、にわかには信じがたい事実が目の前の小さな少女から発せられ、戸惑う噪。


そんな噪を尻目に、さとりは噪の恋を全力で応援すると言います。
さとり曰く、自分の好きな人が他の人と結ばれれば、自分はすっぱりと
自身の恋を諦められるから…諦めた瞬間にそのふしぎな能力はなくなってしまうから…。
そんなことを、全くためらいもなく噪に告げるのでした。


というわけで、ちょっと変わった設定の王道恋物語というところでしょうか。
絵はすっきりとして見やすく、さとりも美桜も可愛く描かれていますね。
このあたりは、ノ・ゾ・キ・ア・ナでも個性的な女キャラクターを描いていた
本名ワコウの本領発揮というところでしょう。


心が聴こえるという設定が、この一方通行的な恋物語に
絶妙なスパイスとなって、様々なところで印象的な場面を演出しています。


4人は全員基本はいい人なのですが、その中でも心の中に抱えている
ちょっとした黒い感情なども、チラついてみえて、一筋縄ではいかない恋愛になることを予感させます。


色々と黒い展開も先々予想されそうですが、つかみのインパクトは十分です。
恋されることによって、付与される、ある意味はた迷惑な能力に
彼ら4人はどのように振り回されていくのでしょうか。続刊も注目です。


個人的評価(5段階) ★4




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