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2016/07/28 かりん 1巻 [カドカワコミックスドラゴンJr.]



作者 影崎由那


2003年~2008年にかけて、ドラゴンエイジにて連載されていた
影崎由那によるラブコメ「かりん」を今日は取り上げます。


この漫画を今回取り上げましたのは、個人的殿堂入り作品であるからということと
昨日の更新で、陽の当たらない小出くんを紹介したからという2つの理由があります。




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かりんの主人公、真紅果林(まあかかりん)は、実は吸血鬼一族の家系に生まれた女の子。
しかし、彼女は吸血鬼一族にも関わらず、太陽の光を怖がらず、太陽のもとで元気に活動できます。
なので、普通の人間と同じように高校に通っています。


更には、夜になると普通に眠気が襲ってくるというおおよそ
一般的な吸血鬼の概念から外れた存在となっています。


実は彼女は、吸血鬼ならぬ増血鬼(作中の造語)と言われており
普通なら血を吸わなければならない吸血鬼と違い、逆に血が増えすぎて 人間に自分の血を定期的に与えなければいけないという
吸血鬼的には、イレギュラーな存在となっているのです。


増えすぎた血は、人に与えることが出来ないと鼻血と言った方法で大量に噴出してしまうため
彼女は普通の人間のように生活しながらも、その定期的に襲ってくる増血状態に怯えているのです。


吸血鬼は、血を吸った人間の記憶を消すことが出来るという設定ですが
吸血鬼としての力が薄いかりんは、その能力もないため、家族のフォローを
受けながら、増血タイミングで人を噛む(与え方は吸う時と同じ)という生活を繰り返していたのでした。


吸血鬼の中では、イレギュラーな存在であり、かといって人間でもない
本当に半端な存在であったかりんは、生来の明るさもあって、その辛さを
表に出すことは殆どありませんが、やはり家族に対する負い目ですとか
様々な悩みを内に抱えた、増血鬼であること以外は、ごくごく普通の女の子として描かれています。


そんな生活を繰り返していた中、突如現れた、三白眼の目つきの悪い
男子高校生・雨水健太(うすいけんた)の登場によって、かりんの生活は
激変し、そしてかりんの人生に於いても大きな影響を与えていくようになるのです。


要は、この2人による異種族間ラブコメというのがこのかりんです。
造血する以外には、割と常識的な人間でもあるかりんですが、健太の前では
大きく空回りしたり、認識の違いからすれ違うこともしばしば。


健太は健太で、色々と抱えているものがあり、2人とも相手のことを
ある程度思っているものの、なかなか関係が発展しないというもどかしい状況が暫く続きます。


最初はラブコメ的展開が続くのですが、後半になると吸血鬼一族でのイレギュラー的存在という
かりんの元々の設定から、一気にシリアス展開になっていくのが、通して読むと面白いです。


なぜ、彼女だけ血が増えてしまうのか?その理由は長年続く、いわば
「呪い」のような宿命がかりんにあったことが最終的には明かされます。
ただ、2人は紆余曲折を乗り越えて、その長い縛られた血筋からの脱却を果たします。


ラブコメパートも、ドタバタ展開が多くて、個人的には好きなのですが
後半のシリアス展開から、最終的に結ばれる2人の姿にはちょっとした感動を覚えます。
なんというか、雰囲気が好きなんですよね。


そして、内容としても完全なハッピーエンドではないのが個人的には良い。
詳細は伏せますが、かりんの家族が下した決断は、家族の絆を強く感じさせるもので
寂しさがあるのと同時に、家族っていいなと思わせる内容になっています。


元々、作者・影崎由那は不幸属性好きで登場人物キャラいじりという、ちょっと漫画家としてどうなのか?
(元々が原画家ではありますが)と思われる、性癖(?)があるようで、影崎由那が描く物語は
暗めの作品が多いようですが、この漫画はもともとヴァンパイア・コメディーとして
単に描く作品だったはずが、担当者のS原なる人物に、半ば既成事実化させての
ラブコメ展開に持って行かれたようで、作者的には不本意なところがあったようです。


どこまで抗議の声を挙げたのかはわかりませんが、その辺りの経緯は
単行本のオマケとして、収録されており、この話もなかなか面白いので
単行本でのオマケを是非チェックしていただきたいところです。


ただ、この作者的には不本意であった路線変更のテコ入れがあったことで
かりんは、アニメ化もされ、本編を補う形での小説版が計11冊も刊行といった
メディアミックス展開がなされ、影崎由那にとっては最高のヒット作になったことも事実です。


最終巻では、ここまでのラブコメ展開を描き切ってしまった
自分に戦慄する影崎由那が描かれていますが、そんな作品が
一番のヒットになったことに、作者自身はどう思っているか聞いてみたいところではあります。


とまぁ、最後は余談になってしまいましたが、通しで読むと前半と後半の温度感に
なかなか戸惑うような作品ですが、個人的に雰囲気が大好きな作品ですので
殿堂入り作品として紹介させていただきました。


増血鬼という斬新な設定は、私的にはこの漫画以外では見たことがありませんが
他で前例はあったのでしょうかね?

個人的評価 殿堂入り

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