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2016/07/19 Final Re:Quest ファイナルリクエスト 1巻 [シリウスKC]




作者 日下一郎 協力/株式会社ヒューガ


衝撃!全編○○○で描かれた漫画!


タイトルからして、なんかのゲームのタイトル?とも
錯覚してしまいそうな漫画、ファイナルリクエストを今日は紹介させて頂きます。


この漫画、個人的に初めて見た時に衝撃を受けたので
この漫画の最大のウリについて書かせていただくとしましょう。


最初に伏せ字にした部分なんですが、一番最初に貼った
表紙の画像を見て、察しのいい人は既に気づいていると思いますが…。




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この漫画は、全編ドットで描かれた漫画なんですね。
ドットとはなんぞや?という人は、こちらのリンク先でも見てください。
一発で理解できると思います。


ドット絵とは、ドットというPCのグラフィックで表現できる色彩の最小単位となる
正方形の形をした1ドットに色を1つずつつけていき、全体的にみて一つのグラフィックに
見えるように配置した表現方法です。


ウインドウズでペイントツールをいじったことがある人は知っていると思いますが
PCの画面等も基本ドットで表現されているのです。
適当なインターネットの文字がある画像を落として、ペイントで開いて極限まで拡大すると
こういったインターネットで表示されている文字がドットになっているのがよくわかります。


ファイナルリクエストは、、通常ペンで描く絵を、全てドットで表現しているということなんです。
ドット絵を作ろうとしたことがある人はご存知かと思いますが、このドット絵は作るのが非常に大変です。


まず、一つ一つのマスに色を置く手間。そして、全体像を見て違和感のないように配色する手間。
当たり前ですが、単一の色で統一するとのっぺりとしたドット絵しか出来ません。
通常のイラストと同じようにグラデーションをつけて、陰影をはっきりさせないと
違和感しかない絵が出来上がってしまいます。


この漫画は、元々ニコニコ静画に上げられたものであり、白黒のドットでは
当然表現できることはほとんどありませんから、全編カラーでの表現です。


その通常作るだけでも、労力がかかるドット絵で
全てのコマ、そしてセリフまでもが表現されているのですから恐れいります。
セリフはコピペで使いまわせるとは思いますが。


ドット絵を作る苦労を知っている人間にとっては、それだけで
この漫画がいかに「衝撃的」であるかがわかるはずです。


そして、とある世代にとってはこの表現は会心の一撃的な表現なのです。
すなわち、ファミコン世代のドラクエなどのRPGにハマっていた人達です。


ここまで前フリを書いて、いよいよ本編のレビューです。
この漫画は、ドラクエなどのRPGの「その後」を描いたストーリーなのです。


もちろん、舞台となるのは架空のファイナルリクエストというゲーム。
自分たちがゲームの主人公と自覚する、メタ的要素を含む漫画作品というのは
結構有りますが、この作品では主人公たちは自分たちがゲームの主人公とは気づいていないのです。


主人公は、アソンテという老戦士。
かつて、勇者タケルと共に、仲間たちと力を合わせ
世界に平和をもたらした英雄の1人。


魔王を倒した後、平和がもたらされた世界。
普通なら、ハッピーエンドという話ですが、アソンテはその後の異変に気付くのです。


それは、自分以外の人間が全て時間を止めてしまった世界。
アソンテ以外の人は、全ていなくなってしまったかのような世界。


全てが時を止めたと思われる世界で、アソンテはかつての仲間と
勇者タケルを探すも、どこにも姿が見当たらない…。


暫く、辺りをさまよううちにアソンテはとんでもない光景を目の当たりにするのです。
それは、世界が元の姿を留めていない、崩壊した姿。
そして、アソンテは世界がこのように変化してしまった原因を探す旅に出るのです。


導入部分を書いてみましたが、この漫画は要は
現実世界の人間が遊んでクリアしたRPGゲームの世界という
舞台を表現した作品になっています。


普通の人は、一度クリアしたゲームはその後再度起動することも無い場合も多いです。
つまり、一度クリアされたことによって、プレイヤーからは忘れられた
ゲーム世界の人間が、独自の意志を持って動き出すという話なのです。


この舞台設定は、別に解説するまでもなく容易にわかるようになっていますので
勇者タケル=ゲームを遊んでいたプレイヤーというのも容易に想像が付きます。


アソンテはタケルを探す旅に出ましたが、果たして彼は戻ってくるのか?
ゲーム内の他の7人の仲間は、ちゃんとデータとして存在するのでアソンテは
会うことが出来ますが、タケルという存在を通して知り合った仲間は
一癖も二癖もあるような個性的なキャラばかり。この物語の行き着く先はどこでしょうか?


この漫画は、往年のファミコン時代のRPGブームを経験した世代であれば
必ずニヤリとさせられるような表現が多数出てきます。


前述の崩壊した世界は、ゲームを起動させた時にバグってしまった場合に表現されるような
カオス的雰囲気を存分に再現していますし、RPG内のお約束に登場人物が疑念を抱く…
と言った、メタ的表現とはまた違った独自のストーリーが展開されるのです。
某有名RPGのパロディと思われるネタも登場します。


とにかく、力の入ったドット絵の表現は目を見張るものがありますし
あの時代のゲームが持っていた、どことなく退廃的なちょっと不気味な世界が
非常に良く表現されています。人によっては恐怖を感じるほどの迫力があります。


ドット絵についても、作者の日下一郎氏が直に打っているとのこと。
また、当時の雰囲気を出すために、色数もファミコンと同じカラーパレットを使って配色を行っているそうです。
ファミコン時代の色数なんて二桁で本当に少ないんですけどね。


徹底的に作者のこだわりが見られる作品ですが、もう一つ触れておきたいのは
本編に入る前にある、冒険の手引き(取扱説明書)という登場人物紹介ページ。


この1巻では、それぞれの職業とキャラの容姿が紹介されているのですが
これが、当時のファミコンで良くあった取扱説明書風になっているんです。
これは、当時のゲームの説明書のデザインを知らないとわからないデザインなんですが
逆に、知っている人には、たまらなく懐かしい気分を味あわせてくれるページになっています。
堀井雄二氏絶賛の理由もよくわかります。


最後に、このファイナルリクエストはニコニコ静画にて
音声つきの動画がアップされ続けています。


http://seiga.nicovideo.jp/watch/mg98751


音楽の作り方や効果音など、ファミコン時代を思いっきり意識した
作りとなっており、こちらを見れば用が足りてしまうかもしれませんが
書籍版も、先の登場人物紹介などの小ネタがありますから個人的にはオススメしたいです。


なお、この作品、全編カラーのせいか、昔小学校で使っていた
図工の教科書と同じ匂いがします(笑)個人的にはこの匂いも懐かしかったですね。


あと、流石に全編カラーでそのまま収録なので、普通の漫画の単行本と比べて
値段が高いです。2巻以降は1000円以上しますね。これは人によってはネックかもしれません。


と、多少の難点もありますが、それを補って余りある魅力ある世界を
ドット絵で表現している唯一無二の漫画と言えます。
ファミコン世代だった人には、是非オススメ…いや、一度読め!と
声を大にして紹介したい作品であります。


まだ完結していませんが、個人的にもう殿堂入りした作品です(笑)


個人的評価 殿堂入り


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