2016/07/23 陽の当たらない小出くん 1巻

作者　石川ローズ

卑屈で捻くれた16歳の男子高校生が迎える134回めの高校1年生活


主人公の小出満作は、16歳という若さにして、吸血鬼となってしまい
その後一切の成長が止まってしまった男子高校生。


吸血鬼になってしまったがために、成長が止まったのと同時に
不老不死の身体を得てしまった満作。


今年は、16歳になってから134回めとなる高校一年生生活。
今回もいつもと同じ高校一年生生活を迎えると思っていた満作も
今年のクラスメイトはいつもと少し違って…。




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というような、ストーリーのギャグ漫画です。
内容は日常系の話で、134回めの高校一年生活を迎えた
実年齢は150歳の男子、小出満作の視点で物語は進みます。


人外モノ作品では、主人公が周りに正体を隠しているのが通常ですが
この小出くんについては、自身でも公言しているし、周りも知っているという
なんとも、変わった関係が描かれております。


まぁ、同じ高校で何度も一年生の生活をしているので
教師や、先に進級していった元クラスメイトは周知というわけです。


ちなみに、そんなに高校一年生活を何度も繰り返す必要はないじゃないかと思いますが
どうやら、高校生活をやめると、政府に狩られてしまう模様。どんな世界なんだよｗ


というわけで、人外モノの作品では、主人公はトラブルに巻き込まれるのが常でしょうが
小出くんは、まったくそういう気配は微塵もなし。というか、元来の捻くれて斜に構えた性格から
簡単に言ってしまえば、KY発言・行動を連発してしまうためクラスメイト…特に
クラスの女子からは新学期早々既にハブられている始末です。


しかし、一部のお馬鹿な男子生徒たちに構われて、今回の高校生活は
少し違うのだろうかとほのかな期待を抱く小出君なのでした。


そんな小出くんの、ちょっと哀れみを覚えてしまうようなゆるゆるな
日常が描かれるだけの、本当に、肩肘張らずに読めるゆるい漫画。


同じ学校には、他にも4人の吸血鬼がいるらしく、その中でも既に実年齢が
400歳を超えているという三浦苦参（みうらくらら）といつも吸血鬼同士でつるんでいて
吸血鬼同士、一般の人間が到底理解し得ないような学校生活を送っています。
日本人の名前ですが、実際は外国人らしく本名はミュラらしいですが。


吸血鬼とだけあって、昼が苦手で太陽の光にまともに当たれない小出くん。
おかげで色白で、一度死んでいるせいもあって病的な印象を与えていますが
それでも、今回のターン（本人がそういう）はちょっと違うのではないかと感じています。


小出くんが置かれる境遇は、別に吸血鬼でなかったとしても
スクールカーストと言った階級で、下層にいた人間であれば
ある意味、痛いほど共感できるような、ちょっと切ない境遇があります。


しかし、134年も同じ高校生活を送ってきた小出くんは、ちょっとやそっとのことでは
大きく動揺することはなく、今日も小さな心の傷を作りながら不老不死生活を送っているのです。
いや、134年も生きているのに結構ダメージを受けていることもありますが…ｗ


政府が吸血鬼を狩ろうとしていたり、吸血鬼だとパスポートが取得できないですとか
吸血鬼が、一般的な概念になっているフシがあり、どういった世界設定か興味があります。
続刊で明かされることを期待したいですが、説明もなく終わってしまいそうな気もします。


脇を固めるサブキャラも、一番の親友である同じ吸血鬼である三浦や
18歳の時に、成長が止まったため学校的には先輩でありながらも
三浦の半分ぐらいしかまだ生きていない、累桂樹（るい　けいじゅ）先輩。
ずっと同じ学校で顔を合わせている、体育教師や担任教師、顔は美形なのに
吸血鬼になりたいので、噛んで欲しいと懇願してくる残念な保険医（♂）など
個性的なサブキャラが登場してきます。


この漫画は、例えるなら吸血鬼版・聖☆おにいさんとでもいえばいいのでしょうか。
吸血鬼が苦手なものや、行動、状況などが色々と作中内で語られます。
今までの吸血鬼の常識なものもあれば、この漫画で初めてみたものもあり
果たして、吸血鬼と言うのはどこまでの能力を持つのか、改めて確認したいとも思わされました。


次巻以降も、おそらく何の変哲もないゆるゆるな吸血鬼高校生ライフが描写されるのでしょう。
しかし果たして、予想を裏切る何かしらの急展開があるのか。次巻も楽しみにみてみたいと思います。

個人的評価（5段階）　★4

タグ：双葉社 ギャグ漫画 石川ローズ 吸血鬼