2016/12/03 少年アシベ 8巻 [ヤングジャンプコミックス]
作者 森下裕美
キュートなゴマちゃんを軸に、ヘンテコな人しかいない。彼らが繰り出す日常ギャグ漫画。
連載自体は、昭和の終わりの頃から平成の初め頃にかけて
週刊ヤングジャンプにて掲載されていた、森下裕美の4コマギャグ漫画である
「少年アシベ」です。もう、30年近く前の漫画になります。
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表紙に居る、ゴマフアザラシの赤ちゃんであるゴマちゃんが
全編通してのマスコットキャラクターになっており、とにかく
ゴマちゃんが奮闘したり、ひどい目にあったり、色々と災難に遭うことが多いです。
このゴマちゃんの可愛さがうけて、まずは1991年にTBS系列でアニメ化。
そして、2期が少年アシベ2として、制作されます。
そして、今年の春にはまさかの25年ぶりに新作アニメが制作され放送されたことも話題になりました。
ゴマちゃんは、ゴマフアザラシの赤ちゃんとして一世を風靡し
全国の水族館などで、ゴマフアザラシの赤ちゃんの展示などが
積極的に行われていました。私の地元の水族館も例外ではありませんでしたね。
ファンシーグッズがさりげなく好きな、私は一時期ゴマちゃんのぬいぐるみが家にいくつかありました。
森下裕美の漫画家人生の中では、一番のヒット作になったのは間違いがなく
作者も思い入れが深いのか、その後続編「COMAGOMA」（コマゴマ）なども連載していました。
さて、ここまで書くと主に子供向け漫画かと思われる本作なのですが
実はこの漫画、先にも書いた通り、連載誌が週刊ヤングジャンプでした。
つまり青年誌。なので、この漫画は可愛い絵柄が前面に出ていますが、実にブラックでシュールな大人向けのギャグ漫画だったのです。
実際、主人公の少年アシベは小学一年生という設定なのですが
アシベ主体の話は全編を通してみると案外少ないのです。
アシベもそうなのですが、出て来る人出てくる人が、もうヘンテコな人ばっかり。
例えば、身近なキャラでアシベの父ちゃんが挙げられます。
彼は、実は良いところのおぼっちゃんで、本来は大金持ち。
更に、頭も非常に良く恐ろしいほどのスペックを持つ人物なのですが
何故か、アパートに妻とアシベとゴマちゃんで住み、それだけの頭を持つにも関わらず
大工の棟梁を楽しんでやっているという具合。
そのとうちゃんの父、つまりアシベのじいちゃんは、芦屋財閥と呼ばれる
大企業の社長をやっており、こちらもやはりヘンテコ。
社会的にも大変な地位があるにもかかわらず、自分の会社の新入社員を
顔がきらいだから不採用とか、見てて面白いから採用とか、とんでもなくフリーダムです。
更には、アシベの通う学校にいる体育教師・天堂先生。
常ににこやかな笑いをたやさない、見た目マッチョの体育教師なのですが
まぁとにかく、KYで常識はずれ。人の神経を逆なでするような返答ばかり。
アシベの担任の、作中人物の中では比較的常識人ではある南先生を切れさせまくったり。
その他、見た目は美人なものの、名前が余りにもおかしくて
その自身の名前に非常にコンプレックスを持っている、ギリシャ人の
じいちゃんの美人秘書であるペッペッペ・ソーランアレマ（名前が面白いので秘書にした）とか
常に仏頂面で無口である、アシベの無二の親友である阿南スガオ。（途中ネパールにいくことになります）
見た目犬にしかみえない、中華料理屋「王々軒（わんわんけん）」を営む王さんと
その娘で、どうみてもその父親の娘に見えないルックスを持つ両々（リャンリャン）などなど…
もはや、ブログの一記事では書ききれないほどの個性的でヘンテコな人々が集っています。
というわけで、ゴマちゃんの可愛さ目当てで本作を読みますと
容赦ない毒っ気にも当てられることになります。
見た目と中身のギャップが面白い漫画で、子供の頃に見た人は
大人になってから、そのシュールな表現に気づいて、別の楽しみ方が出来る作品だと思います。
私も、初めて読んだ時は中学生にも満たない頃でしたが
その後長じるにつれ、大人社会の世知辛さを知ったり
色々と勉強（というと大げさですが）させられる漫画だったなと思います。
今現在は、出版社を変えて、双葉社から「少年アシベセレクション」が
既刊6巻まで、発売されています。
可愛い絵柄の中に、容赦ない毒を仕込んでくる森下ワールドに
気軽に触れられる作品であり、ゴマちゃんの可愛さだけに惹かれて
作品を読んだ時は、思わぬ不意打ちを喰らう作品でもあります。
個人的評価（5段階） ★5
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