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2016/12/02  魔弾の王と戦姫(ヴァナディース) 10巻 [コミックフラッパー]




原作 川口士
漫画 柳井伸彦
キャラ原案 よし☆ヲ 片桐雛太


弓の名手・ティグルと戦姫達を巡る策略・謀略を描いたファンタジー戦記モノの王道!


原作はまだ継続中。アニメ化もされた
川口士によるライトノベル「魔弾の王と戦姫(ヴァナディース)」です。
おそらく、とある魔術の禁書目録(インデックス)からブームになった
漢字表記で、全く別の読ませ方をする作品群の一つですね。



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感想の前にまずはヴァナディースについて確認。ヴァナディースとは北欧神話の
女神の一柱である、フレイヤの別名であるようです。
日本のアニメやゲームのファンタジー作品には、もっとも馴染みが深い神話の一つですね。
完全に余談ですが、Wiiで出ていた斬撃のレギンレイヴというゲームは、このフレイヤがプレイアブルキャラでありました。


というわけで、北欧神話を元ネタとしたタイトルだけに
中世ヨーロッパ的なイメージの架空の王国・ブリューヌ王国とジスタート王国の
争いから、この物語は始まります。


主人公となるのは、ブリューヌ王国内の北部辺境にある…いうなれば田舎的な地域にあたる
アルサスという場所の、現在の領主であるティグルヴルムド=ヴォルン。(以下ティグル)


若干16歳の彼は、前領主のウルスの息子にあたり
ウルスが故人となっている今、若くしてアルサスを治める領主(爵位は伯爵)となっています。


アルサスという辺境は、ブリューヌ国内では、大きな領土ではなく
辺境の田舎町といったきらいで、領主のティグルも政治云々ではなく趣味の狩りにでかけて
町の人と交流を持つような、悪く言えば威厳のない領主であるのでした。


ただ、常に暇さえあれば狩りをしている彼の弓の腕前は超一流。
遠距離から攻撃する卑怯者の武器…と、この世界では蔑視されている武器ですが
彼は、弓を扱うものから見れば、まさに驚くべき技量を持っているのでした。


しかし、そんな平穏なアルサスもいよいよ戦禍に巻き込まれる時が来ます。
ブリューヌ王国がジスタート王国に戦をしかけ、戦争となったのです。


両国の国境にあるディナント平原で勃発した、後にディナントの戦いと呼ばれる
戦争で、両国は対峙し、ブリューヌ国がジスタート国を兵の数で圧倒し
戦争は、ブリューヌ国側の圧勝という見方が優勢でした。


しかし、蓋を開けてみれば圧倒的に兵力が劣るジスタート軍がブリューヌ国を打ち破ります。
圧倒的な兵の差があり、ブリューヌ軍の慢心があったことは想像に難くありませんが
ジスタートには「戦姫」と称される、特殊な力を持った女性の猛将が居たのです。


それが、この物語のもう一人の主人公である、エレオノーラ=ヴィルターリア(以下エレン)
ティグルと同じく16歳の少女ではありますが、彼女はジスタートの戦姫の1人(戦姫は7人居るようです)として
すでに勇名を馳せており、彼女が戦姫と言われる所以である風を操れる長剣「アリファール」を持ち
自らも戦場を駆る彼女は、元々の能力も非常に高い上、人外の力を持つアリファールを操るという
まさに鬼に金棒的な力を持ち、1人で一騎当千の力を持つ指揮官なのでした。


眉目秀麗ながらも、戦場でも傑物の力を持つ彼女は、策を弄して
見事に巨大な戦力差のあるブリューヌ王国を打ち破るのでした。


一方、それだけの戦力差がありながら破れたブリューヌ軍。
ティグル自身は、今まで争いとは無縁で数合わせの参戦だったものの
味方は潰走してしまった状況。しかし、ティグルは運良く生き残ることは出来ました。


周りに味方が居ない状況で、1人戦場に残されるティグル。
味方を探し、帰還しようとしたところに、運悪くエレンが現れるのでした。


今まで戦ったことはないとはいえ、ブリューヌ国の一兵として参戦したティグル。
敵前逃亡は出来ないと、エレンを相手に弓で果敢に挑みます。


結果、弓でエレンを倒そうとするも、アリファールに守られてエレンを討ち取ることは出来ませんでした。
これまでか…と殺される覚悟を決め、エレンと対峙するティグル。
しかし、エレンはここでティグルに意外な一言をかけるのでした。


お前は今から私のものだ…と。


エレンはティグルの弓の腕に惚れ込み、彼を捕虜扱いとして自分の手元においておくことにしたのでした。
命だけは助かったティグルも、彼には故郷で領土であるアルサスがあります。
一領土の領主でありながら、敵国の捕虜となったティグルとエレンによるファンタジー戦記が開幕です。


と、ストーリー導入部分を書いてみましたが
ファンタジー戦記ものでは、練りに練った設定が良く出来ていて
ライトノベルでも高い完成度を誇る一作なのではないかと思います。


7人の戦姫についても、エレンをはじめ魅力的なキャラが多く
また、それぞれの個性が立っていて良いキャラが多いです。


魔弾の王というのは、もちろん弓の名手・ティグルの事を指しますが
この魔弾というのは、後にティグルも戦記が持つような特殊で協力な弓を
とあるきっかけで手に入れることから、この通称がつけられているのでしょう。


その川口士が描くファンタジー世界を、作画の柳井伸彦も高い画力で描いており
主人公とヒロインのティグルとエレンも、それぞれ非常に魅力的なキャラとして描かれていると思います。
戦いの描写も、なかなかの迫力で良いコミカライズだと思います。


領主でありながら、覇権をとるといった野心と無縁なティグルは
戦禍の中では、すぐに命を落としてしまいそうな性格付でもあるのですが
アルサスの民と、自分を支えてくれるエレンをはじめとした人たちのために
徐々に徐々に覚醒していくところが、王道ながらも引き込まれる展開になっていると思います。


特に、それぞれの戦姫はエレンを含めですが、個性的でちょっと癖のある
人物が多く描かれており、彼女たちの活躍を魅力的に描いてあるなと感じます。


このコミカライズ版は、今年の月刊コミックフラッパー9月号まで連載されており
この10巻が、最終巻です。原作の5巻までの展開が描かれていたそうで
第一部完という、一区切りになったため連載も終了したようです。


ライトノベルは既刊15巻を数えており、現在も継続中。
ライトノベルでの15巻は、かなりの人気作ですね。
この10巻の最後には、2部以降の一部を作画したハイライト的な
場面も掲載されており、2部以降も是非読んでみたいところです。


作者あとがきによれば、ひとまずは終了で、今後の予定は不明のようですが
これはぜひ、同じ柳井伸彦で2部以降もコミカライズしてもらいたいところですね。
今後の続報に期待したい作品です。


個人的評価(5段階) ★5




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